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CMS Watch : フィードを使おう 〜イントラネットのためのヘッドライン配信

2005年2月27日 掲載

エイミー・ガーラン(コンテンツ・コンサルタント)

あなたの会社にはイントラネットが導入されている。それは多分、高価で複雑なCMSでサポートされていることだろう。充実した実用情報が満載で、会社全体のさまざまなプロジェクトや共同作業に役立っている。ところが残念ながら、社内のほとんどの人が、情報のほんの一部にしかアクセスしていない。普段目を通す情報の範囲が固定化してしまっているため、イントラネットがほかに何を提供できるのか気づいていないのだ。

一方であなたの上司は、十分に活用している人がほとんどいないツールになぜお金と時間を費やしているのかと首をかしげている。イントラネットへの関心と利用度を高めるひとつの方法は、どんな情報が配信されているのかを効果的に伝えることだ。この点について、検討に値するあるプランがある。分かりやすくて見やすいヘッドラインのかたちでコンテンツをフィードすることによって、社員がすばやくブラウズして、その時に自分に関係のある情報を選べるようにすることだ。

イントラネットとウェブフィード

まだ使ったことはないとしても、ウェブフィード(RSSまたはAtomフォーマット)という新しいオンラインのコミュニケーション・チャネルを、少なくとも耳にしたことぐらいはあるだろう。別名「ヘッドライン配信」とも呼ばれるウェブフィードは、コンテンツの内容を表示し、アクセスを提供する手段だ。また、外部ソースからの情報を簡単にイントラネットにフィードすることもできる。このパブリッシング手段は、次のような特長を持っている。

また、ウェブフィードで使われている技術はシンプルなため、たいていは、オンライン・パブリッシングの手段のなかでも最も安価な手段のひとつと言える。

今日に至るまで、ウェブフィードは主に公共アクセスのあるウェブで使われてきた。これゆえに、ウェブフィードという呼び名が付いたほどだ。例えば、ほとんどのウェブログと数多くのニュースサイトが、今ではウェブフィードを提供している(あまり適切な表示とは言えないが、XMLとかRSSと書かれた小さなオレンジかブルーの長方形で示されている)。しかし、フィードはイントラネットでも有効に活用できる。事実、イントラネットのほうが、有益で価値があり、相互にメリットのある使い道を実現できる可能性もある。これまでのところ、ウェブフィードはイントラネットの世界ではほとんど見落とされてきたが、それも変わりつつあるかもしれない。

社員の視点に立つならば、ウェブフィードは、情報発信のための既存の2つの手段に比べて、より明確で継続性があり、時系列に整理されたコンテンツ閲覧が可能という利点がある。既存の手段とは、イントラネットのインデックスページと、Eメールを使ったニュースレターや警告だ。ユーザーは、ウェブフィードのコンテンツを読むにあたって、リーダーかフィード機能のあるブラウザ(これについては後述する)で読むことになるが、この際、トップには最新のアイテムが表示され、以下、時系列に各アイテムが並べられている。各アイテムには通常、ヘッドラインとサマリー、そして各コンテンツへのリンクが含まれている。つまり、新しいコンテンツにアクセスするのに何ページもクリックして進んでいく必要がなく、最新ニュースや最新情報を見つけるのにいくつものEメールを探して斜め読みする必要もないということだ。ウェブフィードのクライアントによっては、特定のフィードに新しいコンテンツが入ってくると、ユーザーのコンピュータ画面にポップアップで表示されるものもある。

イントラネット・フィードのためのコンテンツ戦略

他のすべてのコミュニケーション・メディアと同じことだが、ウェブフィードでも、最終的に問題となるのはコンテンツだ。価値のある情報が提供されないのなら、誰もウェブフィードを使おうとは思わないだろう。イントラネットにウェブフィードを導入するには、大きく分けて4つの方法がある。その方法別に適したコンテンツの例をいくつか挙げてみよう。

1. 全般的な社内ウェブフィードを作成する

例えば、社内の主要ニュースやイントラネットの新規コンテンツ、更新コンテンツ、求人情報などをフィードできる。このように中央で集めたコンテンツを配信することで、社内に万遍なく情報を行き渡らせるのに役立つ。

2. 外部のウェブフィードからイントラネットにコンテンツを統合する

例えば、会社のことを取り上げたニュース記事へのリンクを盛り込んだヘッドラインを、イントラネットのウェブフィード配信で提供する。これは、手作業でも自動化でも(多少のカスタム・プログラミングが必要になるが)可能だ。あるいは、会社に直接的な影響がある他者からのコンテンツ・フィードをイントラネットで配信することもできる(例えば、ミズーリ州セントルイスにある会社の人事部の担当者ならば、州の労働産業関係局で起こっている動きを常にキャッチしたいと思うかもしれない)。

3. 社内コンテンツを全部門に配信する(またはイントラネットの別セクション間で配信する)

例えば、会社の資料室が、最新の入手文献や更新情報といったお知らせを出したいと思っているかもしれない。R&D部門では、研究開発に関する最新報告を伝えたいと思っている。またマーケティング・渉外部門では、活動状況を他の部署にも知らせたいと思っている。さらに、部門横断的に作られているプロジェクトチームでは、進捗状況を発表したいと考えている。ブログをパブリッシュしている社内の専門家たちは、もっと読者を増やしたいと思っている。ソフトボールチームは、試合のスケジュールを発表したいと思っているかもしれない。ヘッドライン配信は、これらのシナリオすべてに理想的なツールとなる。

4. 個人が指定するコンテンツをカスタム・フィードする

会社組織がきわめて大規模でその活動や情報も多岐にわたっている場合は、どのフィードが人々のニーズに最も適しているかを予測するのは難しいかもしれない。会社内にウェブフィードの支持者がすでに大勢いるのであれば、イントラネットの検索エンジンにオプションを設定して、検索結果を継続的なウェブフィードに変換する仕組みを導入してもいいだろう。例えば、「伝導ポリマー」に関心を持っているエンジニアがいたとしよう。このエンジニアは、そのキーワードでイントラネットを検索した後、検索結果に基づいてウェブフィードを作れば、それ以降は、その検索条件にマッチするコンテンツがイントラネットに追加されるたびに、情報が配信される。結果として出来上がるのは、Blogdiggerで作成したカスタム・フィードのようなものになるだろう。

ここで重要なのは、フィードは「ニュース」のためだけではないと認識することだ。実際、うまく使えば、従来のニュースの送り手と受け手の関係を逆転させることができる。新しいものすべてに注意を喚起することで(会社の公式発表とは異なる)、社員は自分にとって何が新しく何が重要なのかを決め、それを読みにいく力を持てるようになるからだ。

従業員の参加を促す

ウェブに効果的にアクセスするにはブラウザが必要だが、それと同じように、ウェブフィードを受信して読むためには、何らかのフィード・リーダーが必要となる。このため、イントラネットにウェブフィードを導入するにあたってまず浮上する問題のひとつが、イントラネットへのアクセスを持っている社員全員に何らかのフィード・リーダーを提供し、その使い方を教えることとなる。フィード・リーダー(ニュース・リーダーやRSSリーダーとも呼ばれる)には、スタンドアローン型(SharpReaderなど)、オンラインサービス(Bloglinesなど)、既存プログラムへのエクステンション(Pluck)、既存ブラウザの一機能(Filefoxの「Live bookmarks」機能など)など、さまざまな形式がある。また、フィードを取り込んでHTML形式に変換し、簡単に読めるようにしたシンプルなヘッドライン・ページという形式のものもある。

これらのリーダーはすべて無料で入手できるので、会社全体で導入するうえで最も経済的だろう。しかし、会社のリソースや要件次第では、より洗練されたフィード・リーダーの購入を考えたほうがいい可能性もある。スタンドアローン・アプリケーションのFeed DemonやNewsgator(Microsoft outlookと統合できる)などだ。イントラネット・ユーザーがフィード・リーダーを手に入れるか、フィード機能のあるブラウザをインストールすれば、イントラネットで作られるフィードだけでなく、インターネット上のフィードも読めるようになる。

とはいえ、多忙な人々にしてみれば、何であれ新しいことを学ぶのは(どんなに役に立つことであっても)面倒に思えるものだ。ウェブフィードを使い始める前に、社員にちょっとした研修を施し、後押ししてやることが必要かもしれない。プレッシャーの少ない楽しいワークショップや、さらには、各部門のためにカスタマイズしたワークショップを提供すれば、ウェブフィードを使うための初期学習曲線を何とか乗り越え、このメディアをクリエイティブに使いこなす方法を社員に考えさせることができるだろう。また、ウェブフィードの研修は、各個人や部門がどんなタイプのウェブフィードを求めているかを把握するうえでも、理想的な機会となる。イントラネットにかかわるものはすべてそうだが、ウェブフィードも、開発に貢献したという気持ちを社員が抱けば、使うようになる確率が高まる。

テクノロジー:フィードのパブリッシング

フィードの初期設定はやや複雑に見えるかもしれないが、実際には難なくできることがほとんどだ。幸いにも、CMSの多くが、RSS 1.0出力をすでにサポートしているか、RSSのベースとなっているRDF(Resource Description Framework)に対応させられるある種のXMLをサポートしている。お持ちのCMSにウェブフィードの機能が内蔵されているかどうかを調べるには、CMSのスペックを見るか、ベンダーに問い合わせてみるといいだろう。もし内蔵されていないとしても、CMSを拡張してウェブフィードを作成するのに、ロケットを設計するようなエンジニアリングはいらない。ウェブリードの核にあるのは、シンプルなタイプのXML出力にすぎないからだ。

ただ、すぐに生じる可能性のある問題として、イントラネットで使われているコンテンツ・モデルやオーサリング基準が、適切な「記述」フィールドに対応できるかどうかが挙げられる。この記述フィールドは、ニュース・リーダーのアプリケーションからアクセスできるものとなるからだ(ただし必須ではない)。これが対応しない場合は、代わりとして、ほかのツール(市販のパッケージ、またはカスタム・プログラム)を使って、イントラネットや他のソースからのコンテンツを解析し、社内やその他の場所で使用するウェブフィード用に変換することもできる。

最終的に社内にウェブフィードを導入するかどうか、またどのように導入するのかを決めるのは、完全に各企業のニーズ次第だ。とはいえ、ヘッドライン配信は、非常に幅広い用途を持ったツールだ。特に、大量のEメールに忙殺されて救いようのない状況にある社員に重要な新情報を伝えるには、うってつけのツールと言える。初期設定とユーザー研修にいくらかリソースを投じることができるのであれば、ウェブフィードは、社内で驚くほど人気を博す可能性がある。

エイミー・ガーランは、オンライン・メディアのコンテンツ・コンサルタントとして活躍する傍ら、あらゆるタイプのオンライン・コンテンツ作成者、パブリッシャーのためのオンライン・ニュースレターCONTENTIOUSのエディターを務めている。コロラド州ボルダー在住。

この記事の原文「Feed Me! Headline Syndication for Intranets」は、2004年10月5日、「cmswatch.com」に掲載された。

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