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「DESIGN IT! Conference 2006 Spring」開催にあたって

2006年4月 6日 掲載

篠原稔和
DESIGN IT! 事務局長
ソシオメディア株式会社・代表取締役

本年のDESIGN IT!

「DESIGN IT!」は、DESIGN と IT の力、そしてそれらの有機的な融合によって、時代に対応した組織変革や企業変革を進めながら、カンファレンスなどの諸活動を通して人を中心とした社会を実現すべく、昨年春にその産声をあげました。そして、この「DESIGN IT! Conference 2006 Spring - CMS にみる IT デザインの可能性 -」は、定期開催のスタートを切る最初のカンファレンスです。

本年は、「DESIGN IT!」のコンセプトを構成する6つのテーマ、すなわち、「デザインマネジメント」、「コンテンツマネジメント」、「情報アーキテクチャ」、「インタラクション」、「アクセシビリティ」、「ストラテジー」の中から、「コンテンツマネジメント」に焦点を充てながら、同テーマと関連の深い「インタラクション」と「情報アーキテクチャ」を取り上げます。

コンテンツマネジメント:CMSにおけるDESIGN IT!

中でも、「コンテンツマネジメント」をソフトウェアによって実現する「CMS(コンテンツマネジメントシステム)」は、昨今、企業や自治体などの組織の間で、ウェブサイトによる情報発信のためのエンジンとして、企業内の情報をトータルに管理・共有するためのエンジンとして、その活用が急速に進みつつあります。特に、Blog(ブログ)や Wiki(ウィキ)などの登場によって、CMS の効用が幅広い層の人たちにも理解されるようになってきました。そのような現状にも関わらず、我が国における同分野に対する正しい理解や積極的な情報の交流が進まず、有効的な活用や応用技術において欧米は元よりアジアの各国にも遅れをとってしまう事態になろうとしています。

そこで、本年の DESIGN IT! では、同分野の日本におけるより一層の活性化を目的に、CMS ツール分野での DESIGN と IT との有機的なつながりに焦点をあてていきます。是非ともこのカンファレンスを、CMS ツールベンダーやソリューションベンダーの方々には、ウェブサイトや企業情報の総合管理の発展を支える CMS の分野を成熟させていくための機会に、そして、ユーザー企業や利用者の皆さまには、それらを効率的に選定し、正しく組織内に導入・運用するためのヒントを掴む機会にしてください。

インタラクション:ソフトウェアベンダーのインタラクション戦略

また、「インタラクション」のテーマからは、情報技術をソフトウェアツールとして体現し、私たちの仕事や生活の改善を図ろうとする、ソフトウェアベンダー各社における「インタラクション戦略」を紹介します。中でも、私たちのコンピューティング環境に多大な影響を与えるソフトウェア企業である、マイクロソフト株式会社、日本アイ・ビー・エム株式会社、アドビシステムズ株式会社(Adobe Systems Incorporated)の各担当・専門家の方々にご登壇いただきます。

各社からは、今後のコンピューティング環境を UI(ユーザーインターフェース)デザインを中心に捉える方向性として話題となっている「ユーザーエクスペリエンス」を共通のキーワードに、その実践方法やこれからの展開が紹介されます。各社のセッションを通して、ソフトウェアやツールの開発に携わる方々は、ソフトウェアやツールが利用者に受け入れられるものとなるための大切な視点を得られるに違いありません。また、これらのソフトウェアやツールを導入・活用するユーザー企業や利用者の皆さまには、実際の業務や一連のタスクを通して目的を達成する上で、ソフトウェアやツールの果たす役割や効果的に活かすために必要な知見を得る機会としてください。

情報アーキテクチャ:「アンビエント・ファインダビリティ」

そして、「情報アーキテクチャ」のテーマからは、上記の「コンテンツマネジメント」や「インタラクション」にも造詣が深い、情報アーキテクチャのエバンジェリストであり(情報アーキテクチャのバイブル『Web 情報アーキテクチャ - 最適なサイト構築のための論理的アプローチ -』(オライリー・ジャパン)の共著者)、検索の未来(『 Ambient Findability 』(Oreilly Media Inc.)の著者、日本語版はイベント開催日に先行販売予定)を描いて世界中から注目を浴びている、ピーター・モービル氏の招聘を中心に展開いたします。同氏は、昨年のゲストスピーカーであった J・J・ギャレット氏(『ウェブ戦略としての「ユーザーエクスペリエンス」 -5つの段階で考えるユーザー中心デザイン - 』[毎日コミュニケーションズ]の著者、Ajax の命名者)や B・J・フォグ氏(『実験心理学が教える人を動かすテクノロジ』[日経BP社]の著者)とも親交が厚く、昨年からのテーマのつながりや発展を捉える上でも目が離せません。

また、同氏による基調講演「アンビエント・ファインダビリティ - 情報の『見つけやすさ』をめぐる技術とビジネスの新潮流 -」では、同氏が展開する、ユビキタスコンピューティング時代の検索環境についての考え方が紹介されます。ここでは、昨今、話題の Web2.0と言われる各種の現象や変化を背景に、ネット世界とリアル世界とを二分する境界領域について、特にインターネットの「あちら側」で起こっている変化の核心に迫る注目のコンセプトが展開されます。書籍の先行発売と同時に、日本で初めて紹介されるプレゼンテーションに、是非ともご注目ください。

新しい試み

このようなテーマを前面に押し出しながら、DESIGN IT! を支えるカンファレンスや諸活動のプラットフォームにおける新しい試みにも着手しています。

秋葉原

まず、そもそもの開催場所を、新しい IT 時代 のメッカとして変化の著しい秋葉原に移したことが挙げられます。今後、同所を中心に繰り広げられる、さまざまなプロジェクトとの連動も視野に入れて参ります。

展示

カンファレンスでは、これまでのセッションを中心とした構成に加えて、初めての展示による場作りを行います。本年は、CMS ベンダーによる 2社と今回のテーマに関連する書籍をご紹介・販売するスペースを予定しています。

BOF (Birds Of a Feather flock together)

セッションの方では、昨年に行ったゲストスピーカーやスポンサー各社によるプレゼンテーションやパネルディスカッションに加え、あらたな情報交流の試みとして、BOF(Birds Of a Feather flock together:類は友を呼ぶ、同じ問題意識を持つ人々による集まりでの交流やディスカッション)を開催します。スポンサー企業によるドリンクや軽食のサービスによるリラックスした雰囲気の中で、共通のテーマ(「コンテンツマネジメント:CMS」と「インタラクション:ユーザーエクスペリエンス」とのクロス領域)について、熱く議論し、交流を深めます。

Web

そして、カンファレンスを支えるウェブサイトでは、カンファレンスに関する各種情報の提供を積極的に展開していきます。特に、毎回のカンファレンスで取り上げるテーマに関する DESIGN IT! ならではのエッセイや関連情報の充実に努めていきます。今回は、「コンテンツマネジメント」に関して、カンファレンスの海外メディア後援の各社による「CMS(コンテンツマネジメントシステム)」に関する情報掲載の許可を得て、欧米における CMS の現在を知る貴重な情報を厳選して紹介していきます。また、カンファレンスの現場とウェブサイトを結ぶ取り組みについても、昨年の Moblog(モブログ:モバイルによるブログ)に続く試みを計画しています。どうかご期待ください。

Asia

更に、ゲストスピーカーについて、海外からのゲストが米国に偏ってしまう傾向を改善すべく、アジアに対しても目を向けていく試みを開始しています。日本における DESIGN IT! の役割、アジアにおける DESIGN IT! の役割、そして、世界における DESIGN IT! の役割を考えながら、その活動の視野を広げていきたいと思います。

LiM Tec

なお、今年のカンファレンスでは、ソフトウェア・ライフサイクル環境技術を中心テーマとする総合テクノロジー・カンファレンス「IT ライフサイクル技術展(LiM Tec Conference=通称リムテック)」との同時開催を行うことも、大きな試みの一つとなっています。IT ライフサイクル全体における諸課題に対して、DESIGN IT! の諸領域がどのような役割を担うかについても、今後探求を続けていく所存です。

御礼

最後に、今回のカンファレンスも数多くの皆さまのご支援によって成立していることを、ここで厚く御礼申し上げます。カンファレンスに参加し、活動を支援して頂くスポンサー企業の各社様。各種告知や宣伝において連携を図ってくださる国内メディアの各社様、専門家コミュニティの各団体様、海外メディアの各社様。そして、何よりもこの DESIGN IT! に興味を持って、カンファレンスに参加してくださる皆さま、ウェブサイトに訪れてくださる皆さまに、御礼申し上げます。

そして、これからの DESIGN IT! の活動に対して、より一層のご支援とご参加をお待ちしております。

「情報技術をもっと使いやすくデザインしていきましょう!あらゆる環境をもっと快適にデザインしていきましょう! DESIGN IT!」


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