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ダン・サファー パーソナルサイト「O Danny Boy」:マルチタスクのためのデザイン

2008年7月 9日 掲載

Dan Saffer
Adaptive Path のインタラクションデザイナー、インタラクションデザイン修士、インタラクションデザイン協会(IxDA: Interaction Design Association)理事

マルチタスクのためのデザイン

原文: O Danny Boy [odannyboy.com]
投稿日: 2005年1月3日

僕は自分が何かに集中しているとき、その背景で何か別のことが起こっているような状況が好きだ。たとえば、食器洗い機から皿を取り出している後ろでお湯が沸騰しているような状況。もっと好きなのは、自分でも気づかずに2つのことを同時に行っているようなときだ。机の上を片付けながら(結果、無線アンテナの周囲にあるものを移動させ)、そうすることで無意識に無線通信の接続具合を改善しているといった場面がこれに当てはまる。僕たちはこういったことをデザインしなさすぎる。必要以上に、手元にあるタスクに集中することに慣れてしまっているのだ。

僕たちは、デジタルの世界におけるハンマーとも言うべきものをデザインしてきた。これは非常に優れたハンマーだが、手元にあるタスクを行う(釘を次々に打ち込む)以外はほとんど何もできない。これらのデジタルハンマーは、利用者を認識し、それに合わせて適応することはしない。誰にどのように使われているかを示すデータを収集し、一人ひとりに合わせてもっと使いやすくするなどマルチタスクの機能を果たすことができるにも関わらず、1つのタスクしか実行しない。デジタル機器は、通常、履歴という感覚を持たないが、履歴を集めること自体は簡単だ。もし、僕があるWebサイトを見るたびに同じページを見るのなら、次回もそのページを見る確率が高いだろう。こういったことをサイトなりブラウザなりが認識して、僕をそのページに誘導するか、行きやすいようにしてくれるべきなのである。

コンピュータや他のデジタル機器は、これまでの道具にない忠実な執事に匹敵するほどの能力で、僕たちの行動履歴を登録し記録することができるようになった。それにも関わらず、その収集したデータをうまく活用することがほとんどない。もちろん、前に来たことのあるユーザーを覚えていてくれるWebサイトはあるが、こうしたことは非常に初歩的なものである。Amazon は収集したデータの活用を1996年に実現しており、現在のWebサイトはゴチャゴチャしてはいるものの、ユーザーが最近訪れたページを見せるなど、その方向性は今でも健在だ。2、3年前には BBCi が、ユーザーがサイトを訪れるたびにホーム上に「進路」が作られていくような、素晴らしい収集データの活用を行っている。

振る舞いや仲介物は常に変化するため、インタラクションデザインの分野は、これらのいずれかとして整理されるべきものではない。デジタルな装置類が生み出されてインターネットがどんどん広がっていくにつれ、この分野に対するニーズも大きくなってきた。そして、インタラクションデザイナーには新しいチャンスがどんどん増えてきている。しかし、ここがインタラクションデザイナーの才能を生かす唯一の場所ではないのだ。役に立つワークフローやシステムなどを作るためには、アナログな環境でもインタラクションデザイナーの才能を利用することはできるのである。インターネットやデジタル機器があらゆる場所に存在するようになるに従い、インタラクションデザインは、近いうちに我々の生活のあらゆる場面に関与していくことになるだろう。

ここでの重要なポイントは、これらをユーザーに負担をかけることなく、賢く記憶するテクノロジーを駆使することで行ったという点だ。前述した2つのサイトは、ただユーザーが単純なタスクを完了させることだけでなく、得たインプットを使ってそれ以上のことをやってみせ、さらなる一歩を進んだ。つまり、「将来的な」タスクを完了できるようにしたのであり、これこそデザインの甲斐があるというものではないだろうか。

本サイトに掲載している 「O Danny Boy」の記事は、ダン・サファー氏 より許可を得て、翻訳・転載しているものです。

関連サイト

  • O Danny Boy [odannyboy.com] (パーソナルサイト)

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