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ダン・サファー パーソナルサイト 「O Danny Boy」:「仲介するもの」の重要性

2008年7月 4日 掲載

Dan Saffer
Adaptive Path のインタラクションデザイナー、インタラクションデザイン修士、インタラクションデザイン協会(IxDA: Interaction Design Association)理事

「仲介するもの」の重要性

原文: Adaptive Path Blog [adaptivepath.com]
投稿日: 2007年10月09日

製品をデザインするとき、何よりその製品の「機能」に関心を抱いてしまうことはよくあることだ。そして、とにもかくにもその機能を市場にアピールし、そこにデザイン工程にかける時間の大部分をつぎ込んでしまう。まさに、よくある話ではないだろうか。機能は、製品という箱の上に存在するものであり、プロジェクトをユーザーに向けて売り込む方法を決定するものになっている。特にWebデザインの経験を積み始めている人々にとっては、そこには機能とコンテンツが集まったもの以外に何も存在していないようにみえるかもしれない。Web上で変化するものは何なのだろう。そう、ページのローディングだけが、それぞれの変化を示すもの「だった」のである。

それが今では、プロセッサーの速度向上、新しいインタラクションのパラダイム、多くのプラットフォームにおけるリッチなインタラクションの実現可能性拡大に伴って、「仲介するもの」の存在がとても重要になってきた。ここでいう「仲介するもの」とは、変化、活気、インタラクションのロジック、機能やコンテンツといった個々の細胞のつながり具合、そしてこれら全部を1つにまとめるやり方などのことだ。ここが、エクスペリエンスデザインが最も花開く場所であると主張することさえ可能かもしれない。

機能とは、真似された挙句に陳腐化してしまうものだ。まさに今、誰かがあなたの作った機能をコピーしているかもしれない!しかし、あなたが提供した製品の利用経験そのものを複製することは極めて難しい。少し工夫をすれば、Mac のような見た目で Mac のように動く Windows マシンを作ることはできるかもしれないが、それがMac とまったく同じように動くことはないだろう。なぜだろうか。それは、仲介するもの、つまり Mac が Mac であり、Windows OS が Windows OS であるようにする「数々の瞬間」があるからだ。僕が思うに、Linux OS がすべてのコンシューマに受け入れられることがなかった理由の1つは、システムを特徴付ける「仲介する瞬間」の欠落にあったのではないかと思う。

仲介するものは、見えない部分にまで及んでいる。細かい各種設定などについても、ユーザーによる利用経験をより豊かで優れたものにするために考案され、デザインされている必要がある。よくあるのは(他のデザイナー同様、僕にもその責任はあるが)、システムのそういった部分は最後まで手付かずのまま残されてしまい、やっとデザイナーがそれに気づいたとしても、急いでデザインするしかなくなるといった状況だ、そもそも気付かれた場合の話だが。細部を重視しなければならない。細かな部分こそが、発見や賢さを発揮できる部分であり、誰かがその製品を最後まで考え抜いたことを感じてもらえる瞬間を作り出す。デザインは、細部の中にこそ存在しているのである。

本サイトに掲載している 「O Danny Boy」の記事は、ダン・サファー氏 より許可を得て、翻訳・転載しているものです。

関連サイト

  • O Danny Boy [odannyboy.com] (パーソナルサイト)

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