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『インタラクションデザインの教科書』刊行によせて

2008年8月 5日 掲載

『Designing for Interaction』邦訳版の刊行が決定した直後、サンフランシスコのAdaptive Path社(アダプティブ・パス) オフィスにて、著者ダン・サファー氏と交わしたやりとりをご紹介します。

「まさに今、新たなインタラクションデザインが必要となる時代に入ろうとしている。」

篠原稔和 写真 篠原稔和
ソシオメディア株式会社 代表取締役/DESIGN IT! 主宰

"本書『インタラクションデザインの教科書』は、Dan Saffer, Designing for Interaction: Creating Smart Applications And Clever Devices(New Riders, 2006)の全訳です。著者のダン・サファー氏は、出版社のウェブマスター業務やメディア企業におけるウェブサイトのプロデューサー業務を経験した後、現在はユーザーエクスペリエンスに関するコンサルティングファームである Adaptive Path 社にて、ウェブサイトやインタラクティブTV サービス、モバイル機器など幅広い製品やサービスのインタラクションデザイナーとして活躍中です。ここでは、あとがきに代わる日本の読者へのメッセージとして、著者にインタビューを行った際に知ることができた、本書の本質的な部分に関わる一問一答をいくつかご紹介します。


-この書籍を書くに至ったきっかけはどういうことだったのでしょうか?
Dan 僕は、オンライン証券会社でインタラクションデザイナーとして勤務した際、自分の経験や知識のなさに気づいて、カーネギーメロン大学の大学院でデザインの学位をとることを決意しました。その際に大学院生としてインタラクションデザインの講義を担当する機会を得たのですが、生徒に読ませる上でよい教科書をみつけるのに苦労しました。本書を執筆することになった発端は、この時代にさかのぼるわけです。その時、講義でよく使用していた書籍に、アラン・クーパー氏の『About Face』がありましたが、もう少し初心者に向けて書かれた初歩的で分かりやすい本が必要と考えるに至り、自分で書くことを決意しました。自分の教えたい内容を簡潔にまとめた本がほしい、それなら自分で作ってしまえ、という経緯です。


-まさに、日本語タイトルである「教科書」でもあったわけですね?
Dan えぇ、その通りです。この本の趣旨として、インタラクションデザインの分野に初めて足を踏み入れた人、これから学ぼうとしているような人でも、この本さえ手にとればすべてが読んで分かるようにしたい、と考えました。またこれは、自分の上司やIT 部署の人に渡して、自分のやろうとしている仕事内容を簡潔に理解してもらうための本にもなっています。事実、大学のデザイン系の講義で教科書として使われていますし、最初にインタラクションデザインに興味を持った人たちの導入本として推薦されています。


-米国の企業において、本書はどのようにして使われているのでしょうか?
Dan チームや組織に新しく入ってきた人に渡して、自分たちのプロセスや手法を説明するために活用されることが多いようです。その他にも、新人のデザイナーや外部から新たに加わった人に対して、自社のスタッフの仕事のやり方を示すケースや、チーム内で同じ言語を話すための辞書的な役割として使うケースなどがあります。


-これから世界に対して発信していきたいことを教えてください。
Dan まさに今、私たちのコンピュータの使い方は大きく激変し、新たなインタラクションデザインが必要となる時代に入ろうとしています。このことは、これからますますインタラクションデザイナーが重要になってくる時期が到来したという意味であり、次の課題をつきつけられているともいえるのです。"

(本書 「監訳者あとがきに代えて」より抜粋)


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