本文へ

ここから本文です

SEのためのUI入門 1 iPodはなぜ爆発的に売れたのか?

2008年9月19日 掲載

DESIGN IT! magazine』vol.1のエッセー「Column」を掲載しています。

「iPodはなぜ売れたか?」と言えば、最大の理由は「iTunes Music Store」( iTMS)を用意したからと言われている。また、その爆発的なヒットの要因には「iPod mini」や「iPod nano」の卓抜なデザイン性も挙げられる。

確かにiPod nanoのコンパクトでシンプルなデザインは、ソニーの「Walkman」がそれまでのコンパクトラジカセを凌駕したように世界中の人々を魅了した。だが、ここで言うデザインとは単なる外見上のものだけではない。マニュアルを見なくても簡単に使える操作性や使い勝手、つまりユーザビリティもiPodのデザイン性を大きくかたどっているのだ。

iPodに限らず自動車や電気製品などでも、デザインの良し悪しが売上を大きく左右する。少し前、そのもう少し前、さらにその前と数年単位でモデルのデザインを比べると、明らかに時代とともにデザインが洗練されてきていることが分かる。あくなきデザイン性の追求ということが、ハードウェア製品にとって生命線ということなのだろう。

ソフトウェアにおいてもデザインは大きな意味を持つ。では、ハードウェアと違って外形を持たないソフトウェアのデザインの良し悪しとはどういうものだろうか? 筆者はソフトウェアのデザインを図のような3要素で捉えている。

デザインによる好感度アップは生産性アップにつながる

ソフトウェアデザインの3要素
ソフトウェアデザインの3要素

まず。ここでは「見た目の美しさ」と「機能性」について考えてみたい。

見た目の美しさ

まずは、ハードの外観と同じく見た目の美しさだ。画面の配色やレイアウト、表示文字、ボタン、アイコンなど調和が取れて洗練されたものと、何となく素人っぽく野暮ったいアプリケーションは、一目で違いが分かる。「機能が良ければ見た目はどうでも良いじゃないか」と思うとしたら、それはデザインというものを理解していない人だと思う。ハードと同じように、ソフトも見た目の良し悪しが利用者の使い心地や満足度を大きく左右する。

オンラインショッピングや金融サービスのように一般消費者相手の場合は重要性を認識してもらえる(その割りにひどいサイトが多いが)。だが、企業内の利用者に対してのデザインはどうでも良いと考える人が多いのが現状だ。でも、彼らの好感度や親密感を軽視してはいけない。そういう“気持ち”的なものが、効率性や生産性に影響を持つと考えるのが現代的なのだ。ハードならどんな製品でも工業デザイナーがデザインして市場に出回る。同じようにソフトの世界でも相応の専門的デザインが必要な時代になっているのだ。

機能性

人は誰でも自動車を見れば、空気抵抗の少ない走りやすそうなデザインを美しいと感じる。また、包丁の場合はつかみやすく、切れ味の良さそうな形状に好感を持つ。機能を無視した形状ではなく、そのデザインが機能性を高めるために必要だからこそ、良いデザインだと感じるのだ。ソフトの場合も全く同じだ。こうした機能美は、ユーザビリティにおける効率性と同根だが、機能的に最も優れているデザインを利用者は美しいと感じて好きになると言えるのではないだろうか。


DESIGN IT! magazine』vol.1のエッセー「Column」を掲載しています。

関連情報


トラックバック

このページのトラックバックURL
http://www.designit.jp/mt/mt-tb.cgi/1286