本文へ

ここから本文です

DESIGN IT!の6つのテーマの<現在を学ぶ>書籍をご紹介します。

2008年10月 1日 掲載

DESIGN IT! magazine』vol.1のBooks「Explore:さらに深めよう」を掲載しています。

DESIGN IT! magazineのBooksコーナーでは、6つのテーマに対して、自ら書籍を開拓して論評してくださる方を募集しています。
今回の担当:鎌田 博樹清水 誠川添 歩上野 学篠原 稔和(敬称略)

Strategy(ストラテジー)

企業や組織が内外の要因を正確に捉え、市場の中で競争力をもち、イノベーションを起こし続けて差別化し、永続的に成長していくための戦略を構築します。

上林 憲行 (著)
オーム社 2007年

Amazonでの書籍購入

『サービスサイエンス入門 ICT技術が牽引するビジネスイノベーション』

サービスサイエンスの概念は、2002 年に米IBMのアルデマン研究所とカリフォルニア州立大学の ヘンリー・チェスブロー教授によって、サービスを社会工学の観点から捉えるアプローチとして始まっ た。この全体像が見えにくく、まるで巨像のようなものと比喩される同分野について、コンセプト登場 の背景から、実際の事例や動向、ビジネスモデル、デザイン方法論、今後の方向性などを分かりやす く詳細に解説している。

同分野は情報経済・サービス化社会を念頭においた情報通信技術(ICT) が、インフラとして機能し て初めて成立する。そのことをICT企業3社(IBM、アップル、グーグル) の事例を通して整理することもできる。また、サービスによってイノベーションの創出につなげていくプロセスを、フィールド調査などを 含むデザイン方法論から捉える試みは、I T をデザインするためのフレームワークとしても活用するこ とが可能だ。(篠原)

ISBN-10: 4274067041
ISBN-13: 978-4274067044

ここから始めよう:『競争の戦略



Design Management(デザインマネジメント)

デザインによるイノベーション、組織のあり方、プロセス、分析方法などを通じ、デザインの考え方や諸活動をビジネスの中核として、デザインを戦略の中に位置づけます。

クレイグ・M・ボーゲル、ジョナサン・ケーガン、ピーター・ボートライト(著)
スカイライトコンサルティング (翻訳)
英治出版 2006 年

Amazonでの書籍購入

『ヒット企業のデザイン戦略 イノベーションを生み続ける組織』

原書サブタイトルが「いかにして普通の人々が革新的な製品を産み出すか」とあるように、デザイ ナーやエンジニアのためではなく、一般のビジネスマンが「イノベーションを起こすためにデザイン」に取り組むための指南書だ。大企業に所属する3人のストーリーを通じて、イノベーションの考え方のフレームワーク、組織のあり方、プロセス、分析方法などを紹介。自社を『創造する会社』で紹介された、米IDEO社のようなイノベーティブな会社に変革していくためのステップについて解説する。

本書のケースを通じて、デザインがイノベーションを体現するためのものであることや、イノベーショ ンの効用を分かりやすくユーザーに伝えるのがインタフェースであることを再確認できる。さらに、実際 のビジネスにつなげて成功に導くための具体的なステップが分かることから、まさに、デザインマネジ メントの実践のための書となるだろう。(篠原)

ISBN-10: 4901234900
ISBN-13: 978-4901234900

ここから始めよう:『発想する会社!世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法





Usability(ユーザビリティ)

システムの利用品質を向上させるために、ユーザーの行動に着目し、反復的なテストと修正、そしてそれらを包含したデザインプロセス(UCD:ユーザー中心設計)に取り組みます。

樽本 徹也(著)
オーム社 2005 年

Amazonでの書籍購入

『ユーザビリティエンジニアリング ユーザ調査とユーザビリティ評価実践テクニック』

国内で有数のユーザビリティエンジニアである著者が、自身のブログで綴った様々なノウハウを書籍として集約。ユーザー中心設計の実践方法について、実際に、現場で数多くのプロジェクトをこなして きた、著者ならではの視点から分かりやすく解説している。

「ユーザビリティエンジニアが参加していない設計チームは、往々にして深刻なユーザビリティ問題 を抱えたインタフェースを生み出してしまいます。完成後にユーザテストを実施して、初めて、そのインタフェースは使用不可能であることが明らかになってしまうことも少なくありません」(本文より)。特にユーザーテストの実施方法については、本書の約半分の紙面を費やして丁寧に紹介している。プロジェクトの計画からリクルーティング、テスト設計、実施、その後の分析と、各段階で必要な準備や成果物、そして問題への対処法などについて具体的に把握することができる。(上野)



Interaction(インタラクション)

人とコンピュータのダイナミックな対話を円滑にし、刺激的な体験とするために、創造性と工学技術を組み合わせて、迅速で正確な情報提示やユーザーの利便性を生み出します。

ジェニファー・ティドウェル(著)
ソシオメディア株式会社 (監訳) 浅野 紀予(翻訳)
オライリー・ジャパン 2007年

Amazonでの書籍購入

『デザイニング・インターフェース パターンによる実践的インタラクションデザイン』

デスクトップアプリケーションやWebアプリケーション、モバイルアプリケーションなど、各種ソフトウェアのインタラクションデザインの中からベストプラクティスを集め、それらを「デザインパターン」として体系づけた実践的ソリューションリファレンス。「自分がデザインするアプリケーションにユーザが何を期待するかを認識し、さまざまなイディオム( 大きな部分)、コントロール(小さな部分) 、パターン(あらゆる部分にわたる) が用意された道具箱の中からよく考えて選択を行うならば、オリジナリティを損なうことなく“、慣用的に使える”ツールを組み立てることができるだろう」( 本文より)

それぞれのパターンについて、適用場面や具体的な用法とともに豊富な事例を紹介。読者はデザ インの原則を学習しながら、すぐにそれらを自分のプロジェクトに応用できる。またそれ以前に、GUI 設計の具体的な指南書として国内では貴重な書籍と言えるだろう。(上野)



Information Architecture(情報アーキテクチャ)

情報提供者と情報利用者の双方の目的と利便性を分析して、最適な情報を提示するために、情報の組織化・ラベリング・ナビゲーション・検索を捉えて構造を組み上げます。

ジョン・マエダ(著)
鬼沢 忍(訳)
東洋経済新報社 2008 年

Amazonでの書籍購入

『シンプリシティの法則』

シンプリシティは、あらゆるデザインの基本だが、古今の偉大な芸術家や科学者が苦闘してきたよ うに、単純でもなければ簡単でもない。それは複雑多様な現実を誠実に抽象化することで、「真実」に到達した結果なのだ。近代の絵画表現の歴史が、写実から印象・抽象に転換していったように、情報のインタフェースも、いま見せかけの華麗さから、知的で健全なシンプリシティを志向する流れが力を得つつある。

本書は、このコンセプトをデザインやテクノロジー、ビジネスを包含する、総合的なプロジェクトとしてMITで展開したジョン・マエダが、自らのデザイン哲学を簡潔で味わい深い文章で綴ったものだ。内容はまさにシンプルで、10の法則はみな奇をてらったところがない。言語化が最も困難なアートの世界を、見事に言語化した稀な例といえる。幅広い立場や専門の方にぜひ末永く味読し、役立ててほしい1冊だ。(上野)

ISBN-10: 4492556079
ISBN-13: 978-4492556078

ここから始めよう:『Web情報アーキテクチャ 最適なサイト構築のための論理的アプローチ



Contents Management(コンテンツマネジメント)

コンテンツを重要な資産と位置づけて最大限に活用するために、コンテンツの収集・管理・発信の3つのプロセスをトータルに捉え、一連のライフサイクルの中で情報を管理します。

CMS Watch (著)
2008 年

The Web CMS Report 2008

『The Web CMS Report 2008』

独立系のCMS評価・啓蒙機関であるCMS Watchによる評価レポート。欧米を中心とした30のCMS 製品が詳しく評価されている。CMSの最新トレンドや、グローバルなCMS製品の相対的ポジションを知 りたい場合には、唯一無二の存在だ。機能面の評価や解説に加えて、CMSが必要になる12のシナリオを想定し、それぞれについてCMS製品がどれくらい適しているか、までも評価している点がユニークだ。

あまり知られていないが、CMSの全体像や仕組みを理解するための読み物としても充分な内容だ。CMSが生まれた背景や費用対効果の説得方法、関連ソリューションの紹介、よくある機能の技術解説、選定方法、成功・失敗事例など、具体的かつ最新の情報が満載だ。英語版しかなく、国内に販売チャネルがない製品の掲載が多い、国産CMSは掲載されていない、975ドルと少々高い、などを勘案してもお勧めできる。683ページにも及ぶ大作PDFで、すでに第14 版になる。(清水)



DESIGN IT! magazine』vol.1のBooks「Explore:さらに深めよう」を掲載しています。


関連情報


トラックバック

このページのトラックバックURL
http://www.designit.jp/mt/mt-tb.cgi/1295