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エンタープライズ CMS

2009年8月12日 掲載

Dennis E. Haugan /デニス・E・ホーガン T-mobile オンラインマーケティングディレクター

アメリカの産業界で、新しい見解がある。1 つは顧客のエクスペリエンスにフォーカスを合わせることだ。インターネット技術の発達により、様々なチャネルを通じた独自コンテンツの発行が容易になった。難しいのはそのコンテンツの一貫性を保つことであり、すべてのチャネルにわたったパーソナライズを行うことである。

依然、多くの企業が自社のコンテンツを「閉じられた環境」の中で作っている。企業の製品やサービスに関連するコンテンツを閉鎖的な環境で作成したり管理したりすると、途方もない重複作業が発生してしまう。製品やサービスがすべてのチャネルを横断し、一貫性を持ち、もしくはもっと顧客側の視点で、すべての顧客との接点をカバーするかたちで位置付けられるようにすることが今後の課題である。

すべての顧客との接点をカバーしながらコンテンツに一貫性を保つことは、アメリカ産業界が今日まさに直面している問題の1 つだ。インターネット技術がもたらしたパーソナライゼーションの高度化と共に、その問題は顧客のライフサイクルに基づいたパーソナライズドコンテンツに向けて急速に移行している。もはや問題点は、一貫したメッセージを保証することではない。企業と共にあるライフサイクルの範囲内で、顧客の存在に基づき、柔軟性のあるメッセージを発信することが課題となっている。

すべての顧客との接点をカバーしながらも一貫したコンテンツを供給し、パーソナライズされた情報に基づいて柔軟性を与えるためには、今日の企業が製品やサービスを市場へいかに供給するか、また、一度公開したコンテンツをいかに維持していくか考え直す必要がある。各チャネルの所有者が管理を放棄することは難しいため、真に成功するには、それぞれのチャネルが製品、サービス、顧客に関するコンテンツを同じ情報源から引き出す必要があるということになる。

このことは、コンテンツマネジメントを支援する、もう1 つの戦略的な構造を要求することにもつながる。ベースとなるコンテンツを提供するコンテンツマネジメントツールを伴う、中心的なコンテンツマネージャーが必要だ。また、使用されているチャネルに基づくコンテンツや、パーソナライゼーションの観点からコンテンツに追加する顧客プロフィールのデータベースの目的を再検討できるような、チャネルに関する専門家と協力する必要も出てくるだろう。

閉じた状態で作成されたコンテンツの骨組みを捨て、すべての顧客接点をカバーするコンテンツの視点を尊重する企業は、特別なものとなるに違いない。顧客の信頼を高いレベルで獲得することができ、また同業者の使う伝統的なモデルの繰り返しではないパーソナライゼーションの力を借りることができるからだ。

この記事は、Metatorial Services Inc. 設立者/代表のボブ・ボイコによる著作『Content Management Bible(2nd edition)』の邦訳、『コンテンツマネジメント パーフェクトガイド[デザイン・構築編]』(2008年、毎日コミュニケーションズ刊、ソシオメディア監訳)に掲載されたコラムから抜粋、一部編集したもの。

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