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文書管理からCMSへ:マネジメントのためのCMS入門(1):いまなぜCMSか?

2005年2月 9日 掲載

鎌田博樹
オブジェクトテクノロジー研究所

日の下に新しいものなし

 IT業界はファッションの世界と似て、古いものに新しい装いを着せて「最新」に見せることが巧みです。情報を扱う技術は、コンテクストを変え、新しい略語を造れば新鮮に見えてしまう性質を持っており、コンテンツマネジメントもその典型といえるでしょう。これは昔懐かしい文書管理とかレコードマネジメント(RM)、情報資源管理(IRM)、ドキュメント管理……などと呼ばれていたことと何も変わりはありません。

 ただ、文書管理が紙、RMがマイクロフィルム、IRMがデータベース、そしてドキュメント管理がワープロやDTPで作成した「コンパウンドドキュメント」(注)を意識したコンセプトだったとすると、コンテンツマネジメントはWeb時代のものということは言えるでしょう。つまり、内容や形式が限定されないということです。

 ユーザーにとっての課題は何も変わりません。管理の目的は、必要なときに必要な情報を、使いやすい形態で取り出すことです。そのために情報をどうやって格納し、どう再構成するか、そのための「管理」をどうやるかが問題で、そのために利用可能なITを選択し、必要な投資を行ってシステムを構築し、日々運用していくわけです。したがって要は情報管理。CMSだからといって、何も特別に考える必要はないともいえますが、やはり新しい造語が登場するからには、それなりの時代的、技術的背景があるわけで、それをちゃんと確認しておかないと、本来の目的を達成することはできないと思います。それはこういうことです。

CMSの3つの背景

 第1に、管理への要求は確実に変化し、増大しています。企業や官庁などは、情報発信の質と量を改善することが求められており、しかも情報公開や業務の適正に関する法的な規制も、いわゆるコーポレート・ガバナンス(企業統治)やコンプライアンス(法令遵守)との関連で格段に強化されてきました。もはや情報を個人や一部署に私蔵、死蔵することは許されず、業務の処理手順をサポートする「ワークフロー」と結びつけて、厳密に情報管理を行う必要があります。そのための(人間・機械系の)システム(体制)が必要とされているのです。

 第2に、誰しも実感するように、扱うべき情報の量や種類も増大しています。Webは、仕事をする上で利用すべき外部情報を爆発的に増やしましたが、それらを活用すべき知識・知恵は、それに伴っていません。重要な情報を見落とさないためには、より賢い保存や検索のやり方、より親切な見せ方が必要となっています。量に対応できる管理方法が必要です。幸いにして、この分野では、最新技術の恩恵をフルに利用することが可能になっています。新しいシステムを導入すべき理由は十分にあります。

 第3に、技術環境は変化していくものです。5年前、10年前を思い浮かべてみれば分かるように、その時に主流だった形式で保存しても、今日そのまま利用することが出来ない(つまり利用されない)ものが多い。他方で、情報管理には継続性、安定性が不可欠です。ソフトウェアを変えるたびにリセットされるようなものでは管理になりません。Web時代の情報管理は、デジタル化されるすべてのコンテンツに及ぶものでなければなりません。

 要するに、情報管理という目的は昔と同じでも、インターネット時代の複雑・多様・大量の情報を、より迅速・高度に管理することが、CMSに期待されていることです。その場合の情報の単位は、文書や表、写真など個々の形態に限定されることなく、ネットワーク上のどこかに存在する分散的な情報でなければなりません。必要な情報を最も利用しやすい形で引き出し、表示・提供するシステムは、インターネットで最も切実に必要とされているものでしょう。インターネットで提供される情報が無用のものであったり、読みにくく、使いにくいものであったなら、それはノイズにしかならないからです。

マネジメントのためのCMS入門(2):情報管理の難しさにつづく

コンパウンドドキュメント
文字、画像、表など多様なデータを含み、章や節などの構造を持つ複合電子文書。

執筆者紹介

鎌田博樹

ITに関するアナリスト、コンサルタント、マーケッターとして25年以上の経験を持つ。「知的生産活動における生産性向上のための技術的環境の構築」をメインテーマに、幅広くITと取り組んできた。

オブジェクトテクノロジー研究所 代表取締役、オブジェクト・マネジメント・グループ(OMG)日本代表


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