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構造は創造性のアンチテーゼではない

2009年7月31日 掲載

JoAnn Hackos

ジョアン・ハッコス

「もし、あらかじめ構造化されたものに沿って書かなければならないとしても、まだそれは私の創造物だ」。

私はこの言葉を、スキーマやドキュメントタイプの定義で標準化された XML や SGML を書くことを頼まれたスタッフの口から聞いた。しかし単に、構造化された遍在的な性質のライティングをざっと見ただけでも、規定された構造に従うことで通常ライターは自由になり、メッセージとオーディエンスに集中できることが分かる。

シェイクスピアは非常に厳正な詩の形式を持つソネット(14行詩)を書いた。しかし彼の創造力はその形式の中で流れ、それまでに書かれたものの中で最も美しいソネットとなった。ビジネスコミュニケーションは法律関係の書類、政策、手順、財務報告から実験記録や通信文に至るまで、しばしば非常に構造化されている。構造化は情報執筆者やオーディエンスの予測する力を引き出す。執筆者は何を書くか分かっていて、読者は何を読むかが分かっている。

ビジネスや技術ドキュメントのための規定された構造は、執筆者の創造性を奪うのではなく、より創造的にする。使い慣れたデスクトップパブリッシング・アプリケーションでの従来のフォーマット構築よりさらに進み、XML や SGML は、意味的なマークアップの開発でこの構造を強化できる。スキーマや DTD(Document Type Definition)を確認することで標準構造の維持が確実になるばかりでなく、スタイルではなくコンテンツを強調する点でも確実になる。

構造化されたライティングには、たくさんの創造の機会がある。それは執筆者や読者にとって良い機会だ。簡素な古いテキストは変形自由になり、いつでも新しいやり方で目的を新たにすることができる。


この記事は、Metatorial Services Inc. 設立者/代表のボブ・ボイコによる著作『Content Management Bible(2nd edition)』の邦訳、『コンテンツマネジメント パーフェクトガイド[基本・計画編]』(2007年、毎日コミュニケーションズ刊、ソシオメディア監訳)に掲載されたコラムから抜粋、一部編集したもの。

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